珠華繚乱 / 宇津田晴

本の感想, 作者名 あ行宇津田晴

新興国・珠国の王女蓮祥は父王の命令で隣国・幡国の王女・流夏の元に”婿”として嫁ぐことになった。元来男の子らしい生活をしていた蓮祥にとっては王子として振る舞うことに無理はなかったが、幡では婿候補としての試練を受ける蓮祥を快く思わないものがいるらしく、命を狙われる日々が続き……


ルルル文庫の新人さんの佳作賞受賞作品。
元気で男勝りの王女様が隣国の王女様の元に婿として嫁ぐことになったもののそこで政権奪取をめぐる権力者の陰謀に巻き込まれるお話。

全体的にはぬるいなぁと思いつつも、楽しめました。男として嫁ぐことになったのに、協力的であるはずの王女様はなぜかいやみったらしい。しかしそんなことにもめげず頑張る蓮祥の姿の好感度が高し。昔に出会った男の子の面影がちらつく国で、幼なじみの暗殺者に狙われたり謎の男に助けられたりと、スリルとサスペンスに満ちています。プロローグを読んだ段階でこう来てほしいなぁと思った展開が繰り広げられた所は個人的に満足。
ただ、地の文で一カ所だけ辻褄が合わないように感じたところがあったんだけど……、そこに引っかかったくらいかなぁ。大勢に影響ないし、いいか。

蓮祥の婿修行物語もよかったのだけど、それ以上に気になるのは蓮祥のご実家の皆さん。少ししか出てこなかったけれども、父王はかなり破天荒な方みたいだし、兄たちもかなり面白そうな人が集まっているんじゃないかと勝手に予想。続きがあるのなら、次はご実家でのお話かなぁと思うのですが……、家族は蓮祥を溺愛しているに違いない。
蓮祥をつけねらうかの人もまだまだご健在のようだし、蓮祥の家族は最強そうだし、蓮祥は危機感薄いしで彼もまだまだ気が抜けませんね。

img珠華繚乱
宇津田晴/山下ナナオ(イラスト)
小学館ルルル文庫(2007.09)
ISBN:978-4-09-452023-1
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