ヴィクトリアン・ローズ・テイラー 恋のドレスと大いなる賭け / 青木祐子

本の感想, 作者名 あ行青木祐子

名門オルソープ伯爵家・令嬢アディルのドレス作りを引き受けたクリス。完璧な令嬢であるアディルに魅力を感じるクリスだが、彼女の「婚約者候補を惹きつけるドレス」という注文の婚約者の正体を知り、ショックを受ける。


「薔薇色」の今度のお客様はある意味でクリスの最大のライバルであろうオルソープ伯爵家のアディル。完璧な貴族のお姫さまっぷりがかっこよくて思わずほれぼれです。今回のタイトルである「賭け」について、読む前はシャーロックが何かやるのかなぁと思っていたんですがまさかお嬢さまの賭だったとは。本気になったお嬢さま、今後の動向が気になるところです。

一方、望んでいないのに婚約させられてしまうかも、という非常にピンチの状況にいるシャーロックの方はというと……、今回も素晴らしいメインヒロインっぷりを発揮していました。乙女だなぁ、シャーロック。思考回路がジャイアン俺様乙女なので読んでいて非常に恥ずかしくなります。さすが大貴族だ。世界は自分を中心に回っている(しかし、そんなところがかわいいと思ってしまうあたりシャーロックに毒されているような気がしてきた)。しかし、いくら俺様とはいえ間の悪さは天下一品。誰かが仕組んだことかもしれませんが、いろいろと間が悪く思わず同情してしまいます。
正ヒロインのクリスは彼女の報われなさが切なくなります。せっかくおしゃれをする気になったというのに、結果は……とこちらも次回以降の動向が気になるところ。恋のドレスどころか闇のドレスに行ってしまうほどの急転直下ぶりでしたが、どうなるんでしょうね。

パメラとイアン先生や、クリス母の問題などいろいろと気になる問題が山積みです。クリスとシャーロックの未来に関しては、随所に見られる「身分の差」というものが現実として突きつけられているのでどんな決着が付くのか予想もつきません。願わくば、ハッピーエンドになってほしいものですが。続きも楽しみ。

img恋のドレスと大いなる賭け ヴィクトリアン・ローズ・テーラー
青木祐子/あき(イラスト)
集英社コバルト文庫(2007.10)
ISBN:978-4-08-601080-1
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