彩雲国物語 隣の百合は白 / 雪乃紗衣

本の感想, 作者名 や~わ行・他雪乃紗衣

羽林軍の士気向上のために催された年末の武術大会。優勝商品は伝説のイイ男・櫂州牧の恋愛指南。その優勝商品をめぐって朝廷中の男達が骨肉の争いを繰り広げる(恋愛指南争奪戦!)。普段は抜けに抜けている紅邵可。彼が血塗られた道を進むことになった理由とは……(お伽噺のはじまりは)。そして、恐怖の吏部尚書・紅黎深。史上最強の傍若無人を絵に描いたような男が妻を娶るまでの謎が今明かされる(地獄の沙汰も君次第)。


彩雲国の短編2編(The Beans掲載済み)+書き下ろし中編の全3作収録の短編集でした。

書き下ろしの紅黎深物語はボリュームもあり読み応えがありました。おじさま、実はかなりお気に入りで地味に黎深スキーとしては結構嬉しかったです。傍若無人というか酷い人だなぁとは思っていたのですが、ここまで酷いヤツとは思ってもみなかった!黄尚書が独り身な理由もチラホラ本編で触れられていましたが、ここまでおじさまが率先していたとは思いもしませんでした。すべてこいつが諸悪の根元か!あれは酷い。悪夢の国試の全容が今語られますが、たしかにこの年に受けた人は災難でしたね。どちらか一人ならまだどうにかなった人がもう少しいたろうに、二人もきたらなぁ、ご愁傷様。
そんな悪魔のような黎深の奥方である百合姫は思っていたよりワイルドでタフな方で、かなりお気に入りです。やはり、彩雲国の女性は強くてかっこいいなぁ。小さい絳攸もすごく健気でかわいかったです。

短編は一度読んだことあったんですが、再読でもやはり面白かったです。武術大会のあまりにものばかさ加減に大笑い。そして、幼い紅家当主代理はかわいかったです。

img彩雲国物語 隣の百合は白
雪乃紗衣/由羅カイリ
角川ビーンズ文庫(2007.11)
ISBN:978-4-04-449915-0
bk1/amazon