薬師寺涼子の怪奇事件簿 水妖日にご用心 / 田中芳樹

本の感想, 作者名 た行田中芳樹

9月のある日、南アジアの某国(稀少金属の宝庫)の第二王子様が来日された。某巨大テーマパークの貸し切り権を譲ることで恩を売った薬師寺涼子はお供を連れてその貸し切りテーマパークに(招待されたため)乗り込む。そして、涼子の目の前でテーマパークのキャラクター(半魚姫)に扮した美女に王子が襲われるという惨事が起きて……


天上天下唯我独尊傍若無人美人警視正が繰り広げる痛快警察(オカルト)アクション、薬師寺涼子シリーズの、シリーズ……数冊目(出版社がしょっちゅう替わるから数えきれないのでもういい)。涼子の清々しいまでの傍若無人ぶりと泉田君の涙を禁じ得ない努力の数々、そしていつもながらの皮肉の数々が面白かったです。

今回の敵は半魚姫に扮したゴユダと呼ばれる南アジアの怪異。あの薬師寺涼子をもってしてもなかなか成敗することができず、かなりの強敵です。次からも絡むことがありそうなのは不気味な限りですね。涼子のことだから何百倍にもして返しそうですが、どうなるのでしょうか。
怪異とともにこのシリーズの焦点でもある涼子と泉田君のラブコメは今回はおとなしめ?最近のシリーズがわりといい感じだっただけに、ちょっと不発。今回は初期くらいのノリかなぁ。是非とも次回以降に不完全燃焼を挽回して頂きたいです。

そして今回、泉田君以外にも薬師寺組の方々が割と活躍(?)されていて、一同の悟り具合も面白かったですね。涼子の元で働くのは大変そうだけど、ある意味結構いい上司かもしれないとたまに思うこともあるので結構幸せだと思いますよ……、たぶん……。
しかし、皮肉の数々は相変わらずだなぁと思いながら読み流す一方で、数ヶ月前のネタとはいえもうそんなことあったっけ?と思ってしまうほどなので時の流れは速いモノですねぇ。時期ずらしたら元ネタが絶対わからなくなる(笑)。

img薬師寺涼子の怪奇事件簿 水妖日にご用心
田中芳樹/垣野内成美(イラスト)
ISBN:978-4-396-20840-0
詳伝社ノン・ノベル(2007.12)
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