渡れ、月照らす砂の海 幻獣降臨譚 / 本宮ことは

本の感想, 作者名 ま行本宮ことは

契約の門「金剛石の六支刀」から見知らぬ砂漠に光焔と二人きりで放り出されたアリアは、砂漠の真ん中で遊牧民の一行と出会う。アリアの母親の出身一族の友族だというセンドラ族で、ペガサスの幻獣の巫女であるキーラに気に入られたアリアは、母の一族の手がかりを求め、キーラたちとしばらく行動を共にすることにする。


幻獣降臨譚8冊目は、アリアと光焔in砂漠と、アリアと別行動を取ることになった王子・すっかりヒロイン編でした。

今回アリアが従者の男共と別れての初めての旅。男共がいなくても光焔が真の意味での相棒となったので怖いもの無しですね。えらくかっこよくなったアリアがよかったです。母の出身一族の謎、そして聖獣や神獣の真実など物語の核心がずいぶん明かされてきましたが、これからの彼女の進む道がますます楽しみです。
一方アリアと別れた男共衆ではシュナンの心変わりが非常に素敵でした。こ、これはアリアよりむしろヒロインっぽいかもしれんと思ってしまうほどの初恋っぷりにニヤニヤがとまりません、ええなぁ。そしてシュナンと反比例するがごとくの著しい黒化をみせたディクスの動きも気になるところです。このまま行けばラスボスも夢じゃないなぁ……、黒いなぁ。

そして、今回はキーラとアリアと女の子二人でわいわいとかわいく楽しく行くのかなぁとのんびり読んでいたら、またラストの方で毎度のことながら容赦のない展開で「心の涙で前が見えません」状態に陥りそうになりました。あげて落とすなぁ、作者さん。
前回は次はミルヒランドがくるか、と訳がわからないままもなんとなく鍛冶屋の再登場を期待していたのですが、影も形もなく少々残念です。次回こそ期待してますがその前に来月は短編集。筆が速いというのはすばらしいことですね。

走れ、真実への細き途 幻獣降臨譚

img渡れ、月照らす砂の海 幻獣降臨譚
本宮ことは/池上紗京(イラスト)
ISBN:978-4-06-286513-5
講談社X文庫WH(2008.02)
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