紅玉の契約 宗主さまの華麗な戴冠 / 西本紘奈

本の感想, 作者名 な行西本紘奈

父親との意見の相違のため、実家を飛び出しわびしい貧乏暮らしをしている赫姫。ある日、赫姫は路上で謎の青年・迦楼羅に出会い、ひょんなことから彼を自宅に招くこととなる。迦楼羅はなにやらややこしい事情をかかえているようで……。


第5回ビーンズ文庫大賞優秀賞受賞作の新人さんのデビュー作。
傍若無人で元気いっぱいのお姫様・赫姫ととある事情から身を隠しつつも故郷に戻ってきてある目的を果たそうとする迦楼羅、そして迦楼羅の従者で赫姫の従弟でもある閃影の三人が繰り広げるドタバタ物語(ドタバタしている主要因はアキ)でした。

なにやらよく分からない勢いと戦闘シーンがなかなか派手で、ここらへんが優秀賞を取ったのか、とうなずける作品でした。序盤でちょっとくじけそうになったんですが、それを超えれば最後まで読めますね……。

ストーリー自体はそれなりにおもしろかったのですが、個人的にはどうもいろいろと合わないところが多くてむむむと思うところが多かったのも事実です。いろいろ「みくすちゃー」されまくっていて頭が混乱してしまうとか。それが魅力といえば魅力なのかもですが、個人的にはイマヒトツ。あらすじからして和風というか中華風というかインド風というかの世界だと思っていたのですが、ふたを開けてみると敵は西洋天使風(故に、漢字と横文字カタカナ入り乱れ)。呪文は漢文・短歌、そして聖句。しつこく衣装描写をしているかと思えば一方で風景描写はカタカナ一言で肩すかしっ!とか。
他にも笑えるであろうシーンのテンションについて行けない、など何点かちょっと物語に入りきれない要因もありまして……。

残念ながらこの世界にあんまり魅力を感じなかったので違う物語なら読んでみたいんですが、ビーンズのことなのでしばらくは続きそうな気がします。

img紅玉の契約 宗主さまの華麗な戴冠
西本紘奈/鳴海ゆき(イラスト)
ISBN:978-4-04-453801-9
角川ビーンズ文庫(2008.03)
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