メグとセロンI 三三〇五年の夏休み<上> / 時雨沢恵一

本の感想, 作者名 さ行, 作者名 や~わ行・他時雨沢恵一

ルックス・頭脳・家柄と三拍子揃ったモテ男セロンはベゼルからの留学生メグミカに絶賛片思い中。声すらなかなかかけられないというヘタレ街道を邁進するかにみえた夏休み、セロンは親友ラリーの誘いで演劇部のお手伝いに立候補する。セロンは幸運にも同じく演劇部のお手伝いにきたメグミカと急接近することに成功し、幸せをかみしめるのだが……。


リリアとトレイズシリーズのスピンオフシリーズで、リリアの親友メグミカとセロンの学園ラブコメっぽい新シリーズ。アリソンやリリアシリーズとは違い国家規模の陰謀は絡んでいない模様で、わりとまったりとセロンの四苦八苦を楽しむことができる仕様となっていますが、それなりの「陰謀」もちらりと見えております。どんなことが起こるかちょっと予想がつかないだけに、そちらも若干楽しみ。

しかしそれより何より、セロンのメグミカに対する想いがすばらしいですね。メグミカとようやくお話しできたときの無表情にも幸せをかみしめるところとか、いろいろ不安にさいなまれて一歩踏み出せないでいるところとか。そしてセロンを応援する筋肉男ラリーの頼りがいのあること。友情っていいなぁと思わずにはいられません。
一方の思われているメグミカは鈍感娘さんのようで全く気付く気配のないところがセロンの報われなさを助長しています。しかし、留学生というところで不自由なロクシェ語を一生懸命しゃべっているところとかめちゃかわいい。そりゃ、セロンも惚れるわ……。まだまだおとなしいメグですが、リリアシリーズでは確か王女様フリークぶりを発揮してかなりハイテンションになったりとおもしろい子だったと思うので、下巻でのはじけっぷりを楽しみにしています。

これ単体でも十分学園ラブストーリーとして堪能できそうですが、リリア・アリソンシリーズを読んでいたらもっと楽しくなるような本シリーズ。上巻しか出ていない現在でも十分おすすめです。

リリアとトレイズVI 私の王子様(下)

imgメグとセロンI 三三〇五年の夏休み<上>
時雨沢恵一/黒星紅白(イラスト)
電撃文庫(2008.03)
ISBN:978-4-8402-4184-7
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