紅牙のルビーウルフ7 君に捧げる永遠の花 / 淡路帆希

本の感想, 作者名 あ行淡路帆希

意中の男性に胸元に飾る花を取ってもらえると両思いになれるという女性にとっての勝負のお祭り「花飴選びの日」。女官に押しつけられた花をもてあましたルビーウルフは人気のない図書館に逃げ込み、そこでこれまた女性陣からの猛アタックから逃げ出してきたジェイドのお手伝いをすることになるのだが……(「君に捧げる永遠の花」)


この前めでたく本編が大団円を迎えたルビーウルフの最終巻で短編集。ルビーウルフの周囲で起こるちょっとしたドタバタや不思議な出来事の中でルビーウルフとジェイドのむふふなやりとりをにやりとしながら楽しめるまさしく有終の美を飾るにふさわしい素敵な作品。ルビーウルフのちょっとしたほっとしたところとか幸せだなぁと感じているであろう所などを一緒によかったねぇと思いながら読めるという、何となく優しい気持ちになれる短編集でした。
巻頭と巻末に収録される本編終了後のルビーウルフとジェイドのしあわせっぷりがとてもよいです。一本くらい書き下ろしを、と期待しないでもなかったのですが、このプロローグとエピローグでも十分お腹いっぱいかなぁ。そして、どの短編もよかったのですが、個人的お気に入りはタイトルにもなってる「君に捧げる永遠の花」かなぁ。

各所で見た「長編より短編向き」というご意見に思わず納得。長編ではなんとなくパンチ不足かなぁと思っていたところが短編ではとてもいいエッセンスになっておりよかったです。ちょっとした些細なできごとからのすれ違いや、そのすれ違いを乗り越えてのほのかな幸せ、という「日常の小さな幸せ」的な描写がとてもいいんですよね。宰相とジェイド以外に人材はいないのか、と思わずつっこみたくなるほどのブレーン不足も短編では全く気にならないですし(笑)。

最後までいろいろと堪能させていただきました。次回作にも期待しています。

img紅牙のルビーウルフ7 君に捧げる永遠の花
淡路帆希/椎名優
富士見ファンタジア文庫(2008.04)
ISBN:978-4-8291-3277-7
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