東風を運ぶ飛魚 / 菊地悠美

本の感想, 作者名 か行菊地悠美

妖魔退治を生業とする「ゼングランツ協会」を友人のグランツとともに設立したゼン。しかし、ゼンのあふれる力を制御できず、依頼の報奨金より被害の補償金の方が多いかもしれないという非常に苦しい経営状態だった。そんなゼングランツ協会にもたらされた依頼は、春を運んでくるという飛魚の捜索。捜査を進めていくゼンとグランツの前に謎の高飛車美女が現れ、なりゆきで彼女の護衛も同時に引き受けることになる。


第10回エンタメ大賞ガールズノベルズ部門奨励賞受賞のB’s-LOG文庫の新人さん。
幼なじみと作った妖魔退治会社に舞い込む依頼と、それに関わる世界を揺るがす(ような気がする)陰謀、そして道中二人の前に現れた謎の美女の秘密とは……、というお話。

ゼンとグランツのナイスコンビネーション、プリティー小動物、そして高飛車美女の意外な秘密と後半に登場する真のヒロインのかわいさを堪能するお話と思うのですが……、えーーー、なんというか、もうひとつかふたつくらい何か足りないように感じてしまう物語でした。表紙とあらすじみるだけでは女の子出てこないのでもしかしなくてもこれはあっちの方面の話なのではないだろうか(棒読み)、という危惧があったりしたんですが、実際の所はこの点は大丈夫だったんですけどね。
中盤以降のヒロインの本領発揮の部分とか、お互いに徐々にいいところを認めていくとことかは少女小説的にもいいのですが、クライマックスのところがどうもご都合主義かなぁと思ってしまう点が残念かな。

img東風を運ぶ飛魚
菊地悠美/上田キク
エンターブレイン B’s-LOG文庫(2008.06)
ISBN:978-4-7577-4294-9
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