光の精煉師ディオン 天才指揮者とオペラ座で / 村田栞

本の感想, 作者名 ま行村田栞

帝国の秘宝である宝冠が盗まれた。黒雷獣を精煉することのできる≪血の玲石≫が飾られている宝冠の行方を捜し、「青い鷹」は作戦を開始する。黒幕と目される虚無伯爵をさぐるため、ディオンとフェルナンドはオケの団員としてオペラ座に潜入することになる。ディオンは打楽器奏者としてオペラ座の新境地を開拓することになるのだが……


クライマックスに向けて盛り上がる展開を、ということらしいシリーズ5作目は、紆余曲折を経てなぜか打楽器奏者としてオペラ座で活躍(?)するディオンと、盗まれた宝石に過去の戦争の闇が語られるお話でした。

戦争の闇の部分はこりゃまた大事件だ、と思うようなあっと驚く真実が明かされました。フェルナンドにとってはつらい現実を突きつけられたことになるのですが……、ディオンや青い鷹のメンバーがいるから大丈夫そうです。
なんかぬるいというか物足りないなぁと思いつつも、実は結構好きなこのシリーズなんですがやっぱりいいですねぇ。戦争のない世界を目指す皇太子フェルナンドと皇帝になった彼を支えることを夢とするディオンのコンビが読んでいてすがすがしいのです。そしてなにより犬がかわいくて。子犬にメロメロであります。犬に配慮を示しつつもびびりまくるクールビューティーな中将が面白いです。
いろんな勢力の思惑が重なって大変なことになりそうですが、続きが楽しみです。

img光の精煉師ディオン 天才指揮者とオペラ座で
村田栞/岩崎美奈子
角川ビーンズ文庫(2008.06)
ISBN:978-4-04-451008-4
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