勾玉花伝 巫女姫様とさくらの契約 / めぐみ和季

本の感想, 作者名 ま行めぐみ和季

一人前の<奇し也>として皆の役に立ちたいと修行中の香久耶は、ある日不思議な男から謎の勾玉を渡される。その勾玉で今上帝の弟を自由に操る力を得てしまった香久耶は都に連行され、後宮に入るか巫女となって今上帝に使えるかを選択することを強要される。香久耶は巫女の力を示すため、不可思議な現象が起きている地方の水神を鎮めるという試験を受けることになる。


ビーンズ文庫編集部大プッシュの何ヶ月か連続新シリーズ刊行の第一弾。古代日本っぽいような神話な世界を舞台に、母から受け継いだ力を生かそうと健気ながんばるヒロイン、ヒロインに自分の命のような勾玉を預けた弟宮、弟を勾玉で縛ろうとした兄帝、弟宮のお目付け役の帝命な少年、そしてヒロインの超過保護な義兄(たち)の繰り広げるファンタジーな物語でした。お、こう登場人物だけ並べると逆ハーじゃないか(読んでるときは実は気づかなかった)。

こう、素材だけ並べると料理次第ではかなりおいしそうな物語が期待できそうなお話だったんですが、どうにもこうにも味付けがいまひとつでむむむむむむー、と。最初のほうは面白くなるかなぁとも思ったんですが、最後のクライマックスシーンまで違和感はぬぐえず。前シリーズ、前々シリーズで感じた「私には合わない感」というのがやっぱり今回も。ちぃとくどいかなぁ、と感じる面や、文章と展開にあまり色気がないのに要所要所に挟まれるお色気シーンとか、ヒロインの「男共がかわいそうになる勘違い」とかがなんとも。ああ、あとヒロインを中心とする多角関係も(多角関係が苦手というのもありますが)あんまりいまひとつだった……ような。

好みのポイントにはまる人ははまるかもですねー。よくよく考えてみると、弟宮と兄帝の兄弟ものでもあったりします(そっちの属性ないのでどれくらいのポイントになるかわかりませんが)。展開自体はわりといい感じというか、調理方法次第では(以下略)。続きはちょっと評判見て考えます。

img勾玉花伝 巫女姫様とさくらの契約
めぐみ和季/明咲トウル
角川ビーンズ文庫(2008.07)
ISBN:978-4-04-440208-2
bk1/amazon