故郷に降る雨の声(上) バンダル・アード=ケナード / 駒崎優

本の感想, 作者名 か行駒崎優

依頼主を亡くし、仕事にあぶれていたバンダル・アード=ケナードは、報酬は破格だがあからさまに怪しい男の依頼を受けることとなる。男の主人と合流するために、行き先も教えられず歩を進める一行だが、気付いたときには周りは敵だらけの絶体絶命の危機で……


超プリティー白狼エルディルちゃん、もといジア・シャリース隊長と愉快な傭兵の仲間達5弾。今回も渋いおっちゃんたちの魅力溢れた傭兵物語でした。
なんだかんだでいつもわりと絶体絶命の危機に陥るアード=ケナードのご一行ですが、今回も今まで以上に絶体絶命でどうなるんだろうとはらはらドキドキ。我らがヒロイン・エルディルちゃんの目の黒いうちは大丈夫だろうという安心感はありますが、それでもやっぱりスリルに満ちた道程でした。
お医者さんの登場にちょっとうれしくなったり、謎の依頼人のくだりが徐々に明かされていってお医者さんのお仕事との関係がはっきりし出すとさすがの構成だなぁと思いながら、物語を読み進めていました。せこい隊長がどのようなこざかしい手を使って窮地を乗り越えるのかというところが毎回楽しいんですが、今回もすっきりと気持ちのいいこざかしい手でした。

女っ気がほとんどなくて、渋いおっさん増量中、ろまんてぃっく・らぶ何それおいしいの?という本シリーズですがなぜかとても好きです。駒崎さんのテンポというか語り口と登場人物たちの言葉のキャッチボールが私の好みにどんぴしゃなのかなぁという気もしてきました。
一難去ってまた一難と下巻が待ち遠しい展開ですが、続きが楽しみです。後書きの次回予告は一瞬ネタかと思いましたが、あのような展開なのでしょうか……それはそれで楽しみです。

img故郷に降る雨の声(上) バンダル・アード=ケナード
駒崎優/ひたき
中央公論新社 C-Novels Fantasia(2008.06)
ISBN:978-4-12-501036-6
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