全ての歌を夢見る子供たち 黄昏色の詠使いV / 細音啓

本の感想, 作者名 さ行細音啓

次第に弱っていくクルーエルを治療するため、トレミア・アカデミーは彼女をケルベルス研究所へ移送することを決定する。移送に納得にかないネイトはクルーエルを追ってケルベルス研究所へ向かうのだが、その矢先に駅でミオに捕獲される。
一方、研究所に運ばれても一向に容態の回復しないクルーエルは夢の中でアマリリスと名乗る少女と出会っていた。


黄昏色の詠使いの第一部解決編とでも言うべき本作、クライマックスのネイトとクルーエルの詩がすばらしかったです。その詩の優しさと、そして力強さに思わずぞくりとしてしまいました。そして、クルーエルに対するネイトの想いがいいですね、優しくて、力強い。すごくシリアスで(捕らえようによっては)すごく甘い例のシーンなども、他のお話の同じようなシチュエーションの時に感じるものと確実に違う何かを感じる、そんなネイトの強い想いがいいです。ほろりときます。

ミシュダル関係とクルーエルの心に決着がついたのですが、この決着の付け方が本当にもう「ええ話や……」としみじみしてしまうものでした(語彙がなくてすいません反省してます)。何のかんのでクラスメイトの一人一人がクルーエルを心配し、みんなががんばっていたのが印象的。そして大人サイドでは……カインツがかっこよかったです。先生達含め、やっぱり大人サイドいいわ……。

img全ての歌を夢見る子供たち 黄昏色の詠使いV
細音啓/竹岡美穂
富士見ファンタジア文庫(2008.02)
ISBN:978-4-8291-3260-9
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