風の王国 嵐の夜(上・下) / 毛利志生子

本の感想, 作者名 ま行毛利志生子

戦場からもたらされた突然の知らせに、皆の帰りを待つ翠蘭たちはその対応に明け暮れる。そして、城が上を下への大騒ぎとなる中、翠蘭の侍女ロナアルワの妊娠が発覚する。お腹の子供の父親が誰かを中々言わないロナアルワがようやく口にしたのはリジムの名だった。


ネタバレをしないようにあらすじ書きたいなぁと思いつつも書かずにはどうにもこうにも何もかけない、風の王国急展開編の「嵐の夜」。歴史をちょっとかじったり、ちょっと調べてみようかなぁと思って調べたらええそんな展開、と思うようなあの時限爆弾がついに爆発しました。

その爆弾の爆発と共に様々な不協和音が一気に爆発して混乱の渦に巻き込まれるツァシュー。今まで築いていったものが一瞬にして崩れていくものの、嵐を収めようと奔走する翠蘭達。どん底状態から翠蘭らしく男前にがんばる姿がとてもかっこよかったです。上巻を温存して上下一気に読んで正解でした。これは上巻で止められたらそれこそ生殺しだ。
そして、翠蘭以外にも地味ーな人だなぁと思っていた大臣のお一人様が大活躍。膝をがくがくいわせて汗だらだら流しながらガルとやり合うところに思わずときめきそうになりました。

もう一つの大事件のロナアルワ関係も前巻くらいから妙に怪しい動きをしていると思ったら、最後の最後でなるほど、と。出てきた当初からあまり好きにはなれなかったタイプの方だったんですが、最後の最後でそんなこともなかったかもなぁと思わせるような方でした。しかし、この名門ニャン家のお嬢さんで、名門故にいろいろトラブル続きでいろいろシリアスな展開になっていたんですが、「ニャン」という言葉の響きだけで和んでしまうので最後まで緊迫感がありませんでした。すいません。

まだもうしばらく続きそうな風の王国ですが、史実通りに行きそうなので次はどんな状況と翠蘭は戦うのか、たのしみです。ガルとの間に少し不穏なものが再燃していそうな感じでもあるのですが……果たしてどうでしょうか?

img風の王国 嵐の夜(上・下)
毛利志生子/増田メグミ
集英社コバルト文庫(2008.04/06)
ISBN:978-4-08-601145-7 / 978-4-08-601167-9
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