小弓姫―黒龍の珠玉― / 文月更

本の感想, 作者名 は行文月更

赤ん坊の頃、世間を騒がす黒龍党にさらわれ、黒龍党で「小弓姫」として信仰されていた驪珠。黒龍党壊滅時に救出され、今は母親の実家である趙家の屋敷の中で過去を隠し姫君としてくらしている驪珠であったが、従兄に連れられて歩いた街で黒龍党の残党に出会う。そんな彼女を助けたのは、朱明という男装の姫君だったが……

自分の過去に向き合おうとするお姫様が主人公の中華ファンタジー。

第11回えんため大賞ガールズノベル部門佳作受賞作の新人さん。
黒龍党という盗賊団(?)に育てられたお姫様が過去をかくしてお姫様生活していたけれども、党を復興させようとする残党に目をつけられたため友達になった良家のお嬢様とタッグをくんで立ち向かう中華ファンタジーなお話。……、わたしもうそろそろ中華モノに多大な期待をかけるのはやめようと思う……。

一言で言うとなんともちぐはぐな感じがして惜しいなぁ、と。パーツパーツはわりといい材料が揃っているので味付けと盛り合わせ方次第でとてもおいしくいただけることは確実なのですが(ヒロインの過去とか、ヒロインを巡る微妙な男同士の意地の張り合いとか、ヒロインを溺愛する従兄とか、朱明のあれやこれやとか、朱明兄のあれやこれやとか)、全てにおいてなんとも中途半端感が否めず、最後までちょっとむむむ、と思いながら。
たぶん、一番最初の躓き(上にも書いているように、黒龍党の立ち位置がようわからんかったのにとてもひっかかったのと、11歳(前後)でそれは仕事人すぎるあり得ない!)が最後まで尾を引いていたんでしょうが……。

続きが気になるかといえば、とても気になる終わり方だったので続き次第でこれは!と思う作品になる可能性があるんじゃないかなぁと思います。ヒロインをつけねらう(?)元婚約者がかっこいいのかそうでないのかよく分からないのがポイント高いよ!

小弓姫―黒龍の珠玉―
文月更/椎名咲月
B’s-LOG文庫(2009.07)
ISBN:978-4-7577-4979-5
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