女神の娘の恋歌 暁は伯爵、黄昏は魔王 / 響野夏菜

本の感想, お気に入り, 作者名 は行響野夏菜

とある「取引」に釣られて長年司祭が不在であったグメーラに赴任した新人司祭のミーナ。奇怪な噂ばかりが聞こえてくる領主での伯爵のナリスフレイとの対面も順当に終わり、久しぶりの司祭ということで、ミサには大勢の村人が詰めかけ、ミーナの滑り出しは順調なように思われた。しかし、伯爵家に仕えるファランドや村人達のよそよそしい態度がどこか引っかかったミーナは……

若手女性司祭と謎の伯爵兄弟の物語のはじまり。面白かったです。

響野さんのビズログ初モノは、負けん気の強い(人情に厚い)野心家?の司祭ミーナと、謎と怪異に包まれた伯爵兄弟のお話。

いやこれいいですね!かなりお気に入りです。物語の舞台となる世界、「妖魔」と背中合わせで緊張感があって、その「崖っぷち」の領地を守るために苦心する伯爵様や、ある野望のために奮闘するミーナの姿が魅力的。そして何よりナリスフレイとレイヴェン兄弟が、いい兄弟だ!諸処の事情から直接の絡みはありませんが、これはいい兄弟モノ。一言で言うと「まじめな兄にナンパな弟」というポジションなので、通常なら兄が好みーとか言ってるんですが、今回のは甲乙つけられないわ……。特に最後の最後のアレやこれやにはツボだっ!と思いました。あと、小動物好きとか渋いおじさま好きにも若干たまらない展開。

きれいに幕を閉じているといえば閉じていますが、登場人物の紹介(バックグラウンド含む)で終わった感もあるので人気が出れば続きがでるのかな?と思ってみたり。続きが出ないかなぁとそこはかとなく楽しみにしておこうと思います。

img女神の娘の恋歌 暁は伯爵、黄昏は魔王
響野夏菜/椋本夏夜
B’s-LOG文庫(2009.10)
ISBN:978-4-04-726068-9
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