グランドマスター! 折れた聖杖 / 樹川さとみ

本の感想, 作者名 か行樹川さとみ

聖都にやってきた<黎明の使節団>一行はついに教皇との対面を果たす……かに思えたが、枢機卿の張り巡らせた罠がシーカ達を待ちかまえていた。なんとかその罠をくぐり抜けた一行は、後日極秘に教皇との対面を果たすが、教団の内部紛争に巻き込まれ……

シーカの願いがとても切なかったです。

いよいよシリーズも佳境に入ってきたなぁという変態姫総長と堅物団長率いるおとぼけ使節団物語。大きなイベントといえば教皇との対面と、今明かされる黒服陰険男・シラスの過去!とそれぐらいで本編はまたもや短いんですがいろいろ詰まってました。今回のある意味の山場といえば、今までとらえどころの無かったシーカが初めて明かした彼女の願いの場面。全く大それたものではい、日常のすぐそこでつかまえられそうな願いだけに彼女が抱えるものの大きさがまじまじと伝わってきました。
一旦各方面に散らばった使節団の面々があちらこちらから集結して真相にたどり着く、という展開になりそうですが、続きも楽しみです。

そして後半部分のコバルト本誌再録分のトマト戦争、あの原因がトマトでさえなければとてもシリアスなのに、トマトという一点においてとても笑えてしまい凄いなぁと思いました。シリアスなのに……トマトだから……、やっぱり樹川さんののコメディセンスはツボだ……。

imgグランドマスター! 折れた聖杖
樹川さとみ/松本テマリ
集英社コバルト文庫(2009.10)
ISBN:978-4-08-601336-9
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