蘭契の花嫁 綺羅纏絡 / 森崎朝香

本の感想, 作者名 ま行森崎朝香

幼い頃結婚の約束を交わした士蘭と華羅。時が経ち、結婚の日取りも決まりその日を心待ちにしていた華羅に王宮からの迎えがやってくる。隣国の斤国の王への輿入れの道中で駆け落ちをしてしまったというに公主に代わり、従姉妹の華羅に白羽の矢が立てられたというのだ。斤王と交わした「約束」を信じ、斤に利益をもたらすために奔走する華羅の取った策とは……

予想外の展開でした、今回の花嫁さん。

幼なじみとの結婚を前に後宮に入れられた華羅が、後宮を出て国を救うためにとある技術を駆使して道を切り開くお話。花嫁シリーズといえば、嫁ぎ先での胸キュンラブストーリ!という先入観があったのですが、今回の花嫁さんが目指す方向が「脱後宮」なのでいつもと雰囲気が違う物語でした。

熟年夫婦の域にある斤王とその正妃、そして互いの未来を信じて行動する華羅と士蘭という二組のカップルの対比が印象的。熟練夫婦はもうほとんど見守りモードでしたね。
士蘭の出番があんまり無くて、華羅が士蘭にこだわるところにちょっと説得力がないかなぁと思うなど若干物足りない所もありましたが、華羅が正妃を味方につけて一歩ずつ道を進んでいくところは爽快感があました。ラブストーリーというよりは、ヒロインの成長を楽しむ物語ではないかと。

img蘭契の花嫁 綺羅纏絡
森崎朝香/明咲トウル
講談社X文庫ホワイトハート(2009.12)
ISBN:978-4-06-286627-9
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