花姫恋芝居~恋の試練と白い玉~ / 宇津田晴

本の感想, 作者名 あ行宇津田晴

「白蛇事件」を無事解決した香琴達は、事件解決のお礼にと宋の国王主催の宴に招かれる。そこで宋の下級貴族の令嬢・宇明鈴に狙いをつけられてしまった碧天。明鈴の羽振りのよさの裏に何かをかぎつけた秘密がありそうと考えた香琴は、翡翠が採れるという宇家の収める土地に向かう。

天然最強。立ち向かうところ敵なしです。

立派な姫になるために悪党求めて三千里、お供の方々の気苦労がとても忍ばれる姫様珍道中第三弾。今回は碧天に猛烈にアプローチをかけるライバル登場で修羅場か!と思いましたが勝負が成り立っていませんでした。お互いにぞっこんなのでつけいる隙もありゃしない。

悪役の小物っぷりとすかっとする成敗っぷり、そしてうわーそれを真顔で言うか(ニヤニヤ)ということを楽しむシリーズで、余すことなくそれらを堪能できて満足です。碧天の方は自覚ありであれやこれやと頬の緩むことをやっておりますが、香琴が全て無自覚とは……!てんねんっておそろしい。あと、今回の香琴の無念を果たすべく(しかし本人はまったくいじめられたとは思ってなさそうなのがこれまたポイントだ)最後の最後にお供の方々みんなで生き生きと復讐をする場面はとても笑ってしまいました。みんないつもより張り切ってないかこれ。
明鈴も典型的な「やな女」ですが、あそこまで信念を持って我が道を進んでいく姿にある種の感銘を受けました。ここまでくると凄いなぁという感想しか出てこなかったりします。

碧天の「右腕の座」対決も宣戦布告が済んだことでどうなるのか楽しみ。ニヤニヤゴロゴロと合わせて楽しみにしていきたいと思います。あと、今回ちょっと成立していた「香琴を巡るライバル対決」はちゃんと成り立つような気がするので(香琴が鈍感なので全く気付かないまま碧天がモヤモヤする)、こちらの展開はないかなぁとちょっと期待してみたり。

img花姫恋芝居~恋の試練と白い玉~
宇津田晴/山下ナナオ
小学館ルルル文庫(2010.02)
ISBN:978-4-09-452148-1
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