風の王国 水面の花 / 毛利志生子

本の感想, 作者名 ま行毛利志生子

視察の後に急遽小王に官位標を授与することにしたリジムだが、官位標を慌てて準備したために誤った官位標を持って行ってしまう。ラセルとともに留守番をしていた翠蘭は、リジムに官位標を届けるためにリジムが「仮病」で寝込んでいるトゥパロンに向かう。そこで、翠蘭はとある女性の結婚を巡り少々ややこしい問題に巻き込まれる。

外伝にて久しぶりのおしどり夫婦。

本編はちょっとお休みして、お久しぶりの翠蘭・リジムの新婚時代のナイスコンビのお話。翠蘭が翠蘭らしく訪れた先で騒動を放っておけずいろいろ奔走し、それにつられてリジムも活躍し……というお話でした。
今回は政治向きの陰謀が絡んでいませんでしたが、起こった事件は何とも切なく。過去の出来事をそれぞれの胸で抱えつつ未来を向いて生きようとする人と、過去にすがって生きる人のすれ違いゆえの悲劇の物語かなぁ……相変わらず切ない幕切れでした。

久しぶりのリジムはやはり彼がいたら物語が引き締まるなぁ、と。本編での彼の退場がかなりあっけなかったので、今でもふらりと再登場してしまいそうな勢いだと(勝手に)思ってるので違和感全くなし。いいところ全てかっさらってさすがリジムでした。

img風の王国 水面の花
毛利志生子/増田メグミ
集英社コバルト文庫(2010.03)
ISBN:978-4-08-601383-3
bk1/amazon