紫影の花嫁 山妖奇伝 / 夏目翠

本の感想, 作者名 な行夏目翠

妖の民シコウの体の中に同居するという状態に陥ってしまった東の村のカヤノ。カヤノにとって夢か現実かの区別がつかないこの奇妙な関係が続く中、シコウたち妖の民の前に強力な妖魔が現れる。その妖魔とカヤノの現在の状況にはなにやら関係があるようだが、シコウはその妖魔との戦いに苦戦する。

意外に苦労性のシコウとちゃきちゃき系のお嬢さんカヤノの物組み合わせが良かったです。

妖魔と戦う力を持つ「妖の民」と彼らに嫁ぐこととなる普通の村出身のお嬢さんたちのお話第2巻。
前作も好きだったけど2作目はより面白くなっていました。なぜかシコウの体の中に「住んで」しまったカヤノ、そしてカヤノの声と遠慮のない物言いに悩み素をさらけ出すシコウと二人のやりとりがなかなかにツボ。カヤノがどうしてシコウの中に入ってしまったのか、というところが非常に興味深くて、そしてなるほどと思う展開が続いていって恋愛方面以外も目が離せなくてページをめくる手が止まりませんでした。

そして、この世界を統べる「女神」や「妖魔」の謎やあり方にも一石を投じる事実が明かされ続きも気になるところ。次は今回ちょっと背伸びしすぎてがんばりすぎた(けどちゃんと落ち着くところには落ち着いた)トウサイがメインでの最終巻らしいので楽しみです。

img紫影の花嫁 山妖奇伝
夏目翠/萩谷薫
C-Novels Fantasia(2009.10)
ISBN:978-4-12-501089-2
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