冥界伯爵と恋しない令嬢 / 魚住ユキコ

本の感想, 作者名 あ行魚住ユキコ

どんな事故にあってもかすり傷で済むという不死身体質を持つニナは、叔父の策略にはまり公爵子息の花嫁候補として公爵邸に滞在することになる。そんなニナの前に現れたのは、本来なら死んでいるはずだというニナを冥界から「迎えに」来たロカ。あの手この手でニナを「殺そう」とすがなかなか死なないニナに業を煮やしたロカは、ニナの心残りである恋を成就させることでニナを殺せるといいだし……

冥界伯爵もいいけど個人的には当て馬君だな。

作者さんの「初オリジナル純少女小説」とのこと。ティアラ文庫で読んだことあるのが結構好みだったので楽しみにしてたんですが、ノリのいいラブコメでした。
その不死身体質から周囲に距離を置かれつつも前向きなヒロイン・ニナと、彼女を殺しに来たいわゆる「死神」ポジションのロカ、そしてニナが憧れる公爵子息のシモンのどこかずれたやりとりがおもしろかったです。シモン氏は当て馬ながら当て馬にしておくのが惜しいというかむしろ私こっちの方が好みだよ!的な楽しみもありまして、いろいろおいしかったです。ニナの恋をプロデュースしようとクールに四苦八苦するロカが次第にニナに……という展開は王道ながらニヤニヤしてしまいました。

ラブコメ、ということで笑いのツボがはずれるとたぶん読むのが辛いお話ですが、個人的には好きなタイプの笑いだったように思います。ただ、もう少し方向性がずれてたらたぶん合わなかっただろうなぁとも思うのですが(このあたりの微妙な違いがとても難しい)。綺麗に終わってはいるものの、少しの謎も残しつつ、という結末だったので続きも読みたいかもです。ニナの叔父さんであれだけ凄いのだから、父親はもっと凄いに違いない(なんせニナの父)とも思うのでちょっと期待しています。

あ、あと、「恋しない」令嬢ではないような気がする!(むしろ「死なない」)

img冥界伯爵と恋しない令嬢
魚住ユキコ/ひだかなみ
一迅社アイリス文庫(2010.06)
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