横柄巫女と宰相陛下 煌めく嘘 / 鮎川はぎの

本の感想, 作者名 あ行鮎川はぎの

リリィのやらかした大失敗の尻ぬぐいのために、キルテの所領エピュテラで開かれる「宝石市」に向かうことになったノト。国王の婚約者としてエピュテラを訪問することになったノーラは、そこで既知と会うことに。一方、幽閉されていたカノンの弟エリオは執念の脱獄を果たしたのはいいものの、行き倒れてしまい妙な女商人に助けられる。その女商人の目指す場所もまたエピュテラで……

まさかのエリオ再登場+なぜかエリオが活躍してる件について。

シリーズ第9巻では、水面下でうごめく陰謀と陰謀にかかわってるんだかかかわってないんだかのゴーイングマイウェイのお騒がせ弟の大奮闘記でした。もしかしたら、これは救済編なのかな?弟君の行動の基本原理は1巻の時からほっとんどかわってないんですが、なんというか、愛すべきお馬鹿に昇格したというかそんな話でした。……使いようによっては、この人使えるんじゃない……?大変そうな上にすぐに誰かに利用されそうなので細心の注意が必要。
サブタイトルになっている嘘、この話の中にもいくつもの「嘘」があって、その際たるものがメインの二人の「気持ちへの」嘘だよなぁと思うと少し切なくなってしまいます。
そして、「あの人」とあの人を動かす「彼女」の方も準備が整ってきたようですので、次巻の結婚式もえらいことになりそうなんですが、何をするつもりなんでしょうね?

ついでに、裏主人公の「火のないところに煙を立たせるリリィ様」の働きにより、行かなくてもいい宝石市に出席したノトがいろいろな騒動に巻き込まれるんですが、ここまでくるとリリィ様のマイペースぶりと空気のよまなささと浅はかさは才能としか言いようがないなぁ。この何ともいえないいらっとする行動を許容できないと、このシリーズは読めないです。

img横柄巫女と宰相陛下 煌めく嘘
鮎川はぎの/彩織路世
小学館ルルル文庫(2010.06)
bk1/amazon