春夢の花嫁 珠閣雷鳴 / 森崎朝香

本の感想, 作者名 ま行森崎朝香

公主と同じ名前を持つために、わがまま気ままな公主のお遊びの被害を受け「公主」として王宮で暮らすことになってしまった珠華。いくら公主でないと主張したところで周りの人間が(本物の公主の意に背けないので)取り合ってくれないため、開き直った珠華は「やる気のない弟王」にヤキをいれることにする。

花嫁じゃ、ない!

花嫁シリーズ最新刊はタイトルに偽りありでしたが。珠華ちゃんの勢いが大変素晴らしく、その思いっきりの良さが気持ちよかったので花嫁じゃないとかそこらへんは些細な問題でした。

「公主」として扱われるのは夢であり、現実ではないと信じたいものの、周囲の人間は自分を「公主」として扱う。本当に自分は何者なのか?と悩みはするものの、どうせだしいいやと「弟王」の教育に乗り出す珠華の姿がかっこいいのです。首根っこひっつかまえるって!ぷるぷると笑いで手が震えそうになりました。対して「姉」に振り回される「弟王」のやつれ具合もなかなか見物でした。そして、その素質が開花していく様子はこれまた気持ちいいなぁ。

甘さはないんだけど、王様の淡い想いがなんとなしに好きです。読了感のいい物語でした。

img春夢の花嫁 珠閣雷鳴
森崎朝香/明咲トウル
講談社X文庫ホワイトハート(2010.08)
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