横柄巫女と宰相陛下 ずっとふたりで / 鮎川はぎの

本の感想, 作者名 あ行鮎川はぎの

シリウス国の存亡をかけてターラに聖剣をふるうため、王家の霊廟であるウスラに向かったカノンは、サリクの体を使い表に現れたターラと対峙する。一方、カノンが戦線離脱したクラーハ要塞攻略戦では、カノンの授けた策とエリオの「カリスマ」でシリウス軍は立ち直ったかに見えたが……

本当に素晴らしい最終巻でした。

もう何がどうあってもノトの思い描く「しあわせなみらい」一直線で本当に切なくてたまらない前巻からいったいどうやって最後につなげるんだろう、といろんな意味ではらはらした最終巻は、これ以上にない素敵なハッピーエンドで感無量です。
ラスボスかと思われたターラ関係は割と序盤であっさり片付いて、真のラスボスはこの人だったっ!というところにおおっと驚きつつ、神様関係も人間の国関係も一応丸く収まったなぁという印象です。

中盤のノトがカノンに付き添い、待ち続ける姿に心の涙が出始め、そしてさいごのあの(やや力業ながらも)綺麗なまとまり方に心の防波堤が決壊しました。結局は、なんか半分はタイトル通りというか元に落ち着いたんだということに今更気付きましたが、そのあたりに全く考えが及ばない程度にいい話やと満足していました。ここ最近読んだ最終巻の中でもかなり好きな最終巻だなぁ。6ヶ月連続刊行とかのおかげで読者側も盛り上がりまくっていたというのもあるかもしれないけど。

それにしても、エリオの確変は誰が予想し得ただろうか(反語)。器の大きいやつめ……。

しかし、ここまで連続刊行してまださらに来月短編集が来る、とのことです。最終刊はノトとカノン以外の描写はあっさり目だったので、短編集でいろいろと楽しめるのだろうか(もちろん、メインのふたりも)、とこちらも楽しみです。

img横柄巫女と宰相陛下 ずっとふたりで
鮎川はぎの/彩織路世
小学館ルルル文庫(2010.08)
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