夜を待つ姫君~スワンドール奇譚~ / 剛しいら

本の感想, 作者名 か行剛しいら

病気に冒され、日光に当たることもできず普通の食事もできないというジュリアン・ザビエル侯爵は、とある赤ん坊を森で拾いアンナと名付けて養女として養育する。美しい姫君に育ったアンナだが、普通の幸せを手に入れてほしいと願うジュリアンに対し、家族への親愛の情以上の物を抱くようになり……

おとぎ話のような吸血鬼モノでした。

スワンドールを舞台に繰り広げられる一話完結型の恋(?)物語一冊目は、吸血できない吸血鬼ジュリアンと彼に育てられたアンナの物語。ふたりの親子の愛情から愛しい人への愛情への移り変わりを軸に、王家の陰謀や長い時を生きるものの切なさなんかが織り込まれて面白かったです。

一番面白かったのは、なんというかヘタレな吸血鬼ぶり(笑)。やさしすぎて吸血できないジュリアン様のヘタレっぷりがすてきでした(ヘタレいうな)。
このラスト、個人的にはわりと好きなですが、スワンドールという国自体はほったらかしか大丈夫か!と思わなくもないので、他のお話で補完されるのかな?他のもおいおい追いかけていきたいと思います。

img夜を待つ姫君~スワンドール奇譚~
剛しいら/黒葉.K
B’s-LOG文庫(2009.12)
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