≪呪肉≫の徴 グヴィノール年代記1 / 縞田理理

本の感想, 作者名 さ行縞田理理

両親と死に別れ、伯母の家に身を寄せるメルには誰にも言えない秘密があった。左腕に突如現れた謎のできもの、これが原因で畸端審問官に連行されるかもしれないと日々おびえるメルは、市場で審問官に見とがめられたところを変わり者と評判の大公家のアラストリナ姫に助けられる。アラストリナに恩返しするため、城に上がることを決意したメルは、読み書きの師匠であるトレガーに教えを受け、城に上がるだけの体裁を整えて……

がんばる女の子はよいものだ。

縞田さんの新書第二弾でシリーズ物。「年代記」とかそういうタイトルが付いていたら一人で勝手にワクワクしてしまうんですが、そのワクワク感を裏切ることなく楽しめました。
破天荒なお姫様と彼女に心酔する侍女……なんて素敵な組み合わせ!しかも二人には他の人には言えない秘密が。さらに秘密を持つだけでもはらはらするのに、姫様とその家族を襲う悲劇に、うごめく陰謀に不気味なかの人たちの動き……と盛りだくさんでした。特に中盤以降は手に汗を握りました。

個人的には敵役のあの親子の狂気の方向性が本気で苦手なので(裏に何があろうと、これは苦手なタイプだわ……)、姫様と侍女殿には是非ともすかっと見返してやってほしいところ。彼女たちが呪肉から得た「力」も、それぞれタイプがあって面白いので、次以降のそれぞれの力の発揮する場面も楽しみです。

img≪呪肉≫の徴 グヴィノール年代記1
縞田理理/春乃壱
C-Novels Fantasia(2010.11)
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