愛のかけらは菫色 / ローラ・リー・ガーク

本の感想, お気に入り, 作者名 や~わ行・他ローラ・リー・ガーグ

所領での遺跡の発掘に情熱をもやすトレモア公爵アントニーは、貴族の義務として無難なところで結婚問題を片付けようとしていた(結婚より遺跡が大事)。そして、アントニーの元で修復士として働くダフネは、遠くからアントニーを観察するだけで幸せという勢いで密かに想いを寄せていた。しかし、ある夜、アントニーがダフネのことを「竹節虫」と呼んでいるところを聞いてしまい、ダフネは仕事を辞めることを決意する。

ダフネと公爵の一進一退の攻防が面白すぎました。

うちのサイトに感想挙げても需要があるのかはなはだ疑問ですが、(おおむらさんおすすめの)ロマンス小説読んでみるかなシリーズ第2弾。19世紀半ば前のイギリスを舞台に、考古学オタクの父に育てられ自らも一流の修復士としての技能を持つダフネが、密かに憧れていた公爵様にけちょんけちょんに言われていることを知ってしまい、それならやめてやる!と辞表をつきつけたものの、優秀な修復士であるダフネを今手放すわけにはいかない公爵様があの手この手でダフネを留意していくうちに……という、そんなかんじのお話。

ロマンス小説の障壁の一つとして、「身分差」というものがあるらしいのですが、これは割と初期の段階でクリアできるなぁ(方法は分からない)と思っていたので、主眼は「公爵、どうダフネを攻略するか」です。休日、報酬、ダンスのレッスン、休暇、そしてキスにプロポーズとあの手この手もいいところだな!というか公爵、はじまりは体か!と数回突っ込みたくなりました……すいません。
いやでも突っ込みたくはなるんですが、この「押す公爵と逃げるダフネ」のやりとりが面白くて、そしてロマンティックでとにかくニヤニヤしながら見ました。百年の恋が冷めたダフネは公爵にとにかく冷たく当たるんですが、それをものともせず果敢に挑む公爵ににやにや。なんのかんのでやっぱり公爵に惹かれている節のあるダフネは、「滞在期間」を餌に公爵と交渉するんですが、最初からダフネが敗戦濃厚でこういうところにもニヤニヤ。そしてロンドンでの公爵の猛攻に本気でニヤニヤ。ロマンです、ロマンスです。この時代にしては珍しく、父につきあって中東その他の遺跡発掘を手伝っていたため、手に職を持ち、そしてたくましいダフネも面白かったです。
もうちょっと19世紀のイギリスらしさ(くわしくないですが!)があるともっと楽しかったかなぁと思いますが、しかしふたりの攻防が大変楽しかったので良かったです。が、あのようなシーンも前読んだのに比べて少々本気であったので、苦手な方は回避した方がいいのかな?この分野でどれほどのポジションかはわかんないんですが。

ということで、以上、釣りエントリでした。

img愛のかけらは菫色
ローラ・リー・ガーク/旦紀子
ラズベリーブックス(2008.03)
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