花嫁の選択 銀の森の姫は北の大地に向かう / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

フレンドル大公国の皇女イリーナは、大公の跡継ぎであり従兄のミハイルと婚約していた。遠方からの長期の視察から戻ったミハイルは、フレンドルに強大な騎馬民族であるオルドブライの脅威が迫っており、大公国一丸となってこの脅威をやり過ごすことが必要だと解く。そんなイリーナとミハイルに突きつけられたオルドブライの要求は、フレンドルの皇女を一人差し出せということで……

安心の硬派。

「花嫁は恋を知る」シリーズとは別シリーズ!と思ったんですが、スピンオフの「花嫁の選択」シリーズ?でしょうか。ブラーナの皇女から離れて周辺国の花嫁模様を描いていきそうな物語の開幕です。

今回は冬の王国・フレンドルを舞台とした、皇女とフレンドルを侵略にきたオルブライトの皇子アスライの物語。婚約者と引き離されたものの、皇女として毅然とアスライの元に嫁いだイリーナが格好良かったです。ミハイルとの未来をあきらめたイリーナの一言がかなりきっつーな一言でしたが、まあ、しょうがないかな……。あの一言でイリーナの婚約者・ミハイルもやんでれちゃったらどうしようと心配しながら読んでおりましたが……(あとは物語を読んでお楽しみ下さい)。
終始堅い話が多くて甘いところはあんまりないんですが、文化・価値観の違いを少しずつ理解して近付いていく様子なんかはこのお話の醍醐味かなぁと思います。「花嫁の選択」とあるものの、最後に選択したのはアスライの方だったように思いますが……この後のふたりがちょっと気になります。

img花嫁の選択 銀の森の姫は北の大地に向かう
小田菜摘/池上紗京
集英社コバルト文庫(2011.05)
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