嘘つきは姫君のはじまり 初恋と挽歌 / 松田志乃ぶ

本の感想, 作者名 ま行松田志乃ぶ

初瀬から後宮に戻った宮子は、声を失った次郎君に献身的に付き添い、ついに一つの決断を下す。そして、間近に迫った中宮の出産。体調を崩しがちな中宮の出産が無事終わるよう宮子たちは祈るが……

蛍の宮、いじりがいがありすぎる。

乳きょうだいと姫君の入れ替わり平安ラブコメ、次回でとうとう最終巻!の一冊。東宮の決意、宮子の決意、そして真幸の決意。三者三様の想いを胸に迎えたお話で、どの想いも切なく、そして愛おしくて。超大作恋愛小説を読んでるような気分になりました。基本的には幼なじみ派なんですが、そして真幸の選択がいい男すぎるんですが……!

序盤の「東宮様、しゃべれないのにフルスロットルで読んでて恥ずかしすぎる」一連のシーンは恐ろしかったです。これで、しゃべれたらいったいどうなっていたのか……。東宮様、恐ろしい子。そしてそれと反比例するが如く脱力モードを提供してくださったお兄ちゃん・蛍の宮のいいお兄ちゃんっぷりは今回も健在。やっぱりこの物語の癒しは蛍の宮だなぁ。
東宮の声の問題に中宮の出産、そしてぶり返してきた東宮妃問題に有子姫の切なすぎる想いなど盛りだくさんで、そこら辺ばかりに気が入ってしまったんですが、最後の最後で(すっかり忘れていた)謎の一団のアレコレが、非常にえげつないところで次巻に続くとなっておりまして……早く最終巻が読みたいです。

img嘘つきは姫君のはじまり 初恋と挽歌
松田志乃ぶ/四位広猫
集英社コバルト文庫(2011.06)
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