白竜の花嫁 紅の忌み姫と天の覇者 / 永野水貴

本の感想, 作者名 な行永野水貴

小国の姫でありながらも不吉とされる紅い瞳を持つ澄白は、周囲の人に疎まれながらも、理解してくれる親友を得、幼なじみとの結婚を目前に控えていた。しかし、国を襲う怪奇から国を守るために、竜の花嫁として生け贄となる覚悟をした澄白は、兄から課せられたある密命を胸にゴルド族と呼ばれる竜のひとりの元に赴く。

異文化コミュニケーションはよいモノだ。

アイリス文庫でやっていた「和風ファンタジー強化月間」なるモノにホイホイ釣られて、今まで読んだことのない作者さんにチャレンジしてみました。

不遇な境遇の姫君が幸せに慣れそうなところの一歩手前で全てが台無しになって、絶望の中、一縷の望みをかけて決死の覚悟で「生け贄」として向かった嫁ぎ先。人とは全く違う文化の中で暮らす「竜」は恐れていたようなものではなく、むしろ澄白を思いやってくれる。そして旦那様であるシュトラールは、国いた頃の友人ふたり以外で初めて澄白を理解しようとし、いたわってくれて……と、「悲壮な覚悟で臨んだけど実はそこはいいところだった!」というお話でした。兄王子の企みとか、仕組んだことがわりと酷くてやなやっちゃ!とか、幼なじみの婚約者にモヤモヤするモノを感じておりましたが、なんというかそこら辺わりとどうでもよくて。竜と人との異文化コミュニケーションが面白かったです。

あと、まっくろくろすけみたいな<隣人>がかわいい!一家にひとつほしい。

img白竜の花嫁 紅の忌み姫と天の覇者
永野水貴/薄葉カゲロー
一迅社アイリス文庫(2011.06)
bk1/amazon