嘘つきは姫君のはじまり 千年の恋人 / 松田志乃ぶ

本の感想, 作者名 ま行松田志乃ぶ

盗賊団に捕まった次郎君と宮子をかばい、真幸は傷を負ってしまう。一旦脱走をあきらめた三名は、次の脱走の機会をうかがうことにする。一方、姿を消したふたりを探し動き出した馨子と蛍の宮たちは、数少ない手がかりを元に誘拐犯を追うが……

お兄ちゃんっ!(最後までおいしい)

平安ミステリーのはずだったのにここのところミステリー分が少なくて、最後の最後にちょっとミステリー!のシリーズ最終巻でした。

幼なじみと東宮となら絶対幼なじみ派なんだけど(幼なじみ原理主義)、なんかもうそこら辺どうでも良くなったと最近の感想で書いてますが、でもやっぱり真幸だ!宮子と真幸の落とし前のくだり読んでて、真幸がいい男すぎて泣けてきました。なんで幼なじみじゃないんだ!(話が変わります)
と、幼なじみへの意気消沈はおいておくとして、個人的にとても大好きな蛍の宮の素敵なお兄ちゃんっぷりが最後まで拝めて満足でした。たとえ、最後の最後にいいところがなくても……五節の姫といい感じなのに姫子が全部ぶちこわしても(笑)。
真幸と蛍の宮の見せ場はあったんですが、馨子姫の見せ場が少なかったのはちょっと残念かな。展開の関係上しょうがないかとは思いますが、シリーズ初期のあの冴え渡る馨子姫の推理!がミステリー分の減少と共に出番がなくなっていったのはちょっと残念ですが、最後まで馨子姫らしいしたたかさは十分楽しませていただきました。

次郎君と宮子については、思わぬ方の思わぬ発案でえらく丸く収まり、ある意味ちょっと拍子抜けでした。力業ですが、物語の最初から力業なので……。しかしながら、周囲の人物の若干消化不良のところはこの後出る短編集とやらで補足されるとのことですので、こちらも楽しみだな!「蛍の宮のなんやかや」が一番楽しみなんですが、この巻でも切ない想いに決着が付かなかった有子姫がどうなったのかも気になります。そんなわけで、最終巻といえどもまだまだ楽しみが残っていますので、短編集を楽しみにしています。

img嘘つきは姫君のはじまり 千年の恋人
松田志乃ぶ/四位広猫
集英社コバルト文庫(2011.08)
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