ロクサリーヌ夜話 / 榛名しおり

本の感想, 作者名 は行榛名しおり

街でも一番の高級娼婦「黄金のロクサリーヌ」は、ロクサリーヌを指名するものの、彼女にふれず、ただ屋根の上で語り合うだけという不思議な客で海軍士官のガッシナに心惹かれる。妹を救うという目的のため、よい条件での身請け先を探すロクサリーヌは、身請け先も決まるがガッシナへの想いを押さえきれなくなり……

設定からして純愛は無理だろう、と思っていたらとてもピュアでした。

えらく久しぶりの榛名さんの作品。ホワイトハートの某作品のスピンオフで、あちらを読んでいたらたぶんにやっとできるところが多かったのでしょうが……某作品は実は読もうとして1巻で脱落しちゃったので(当時は。今は読めるかも知れないけど、なんか展開がつらくて)、純粋にロクサリーヌとガッシナの物語として楽しみました。陰謀?関係が「それでそれはなんだったんですか!」という消化不良なところで幕が下りていてもやもやしてしまったのですが、これは某作品を読んだらすっきりするのかな。

娼婦に元男娼という泥沼まっしぐらっぽい設定だったのに、なんだかすごいまっすぐでした。帯の「私はぜんぶあなたのもの」が、これまたいいところでがつんと出てきて……ピュアっていいですね、ピュア。最後の最後のあの人の計らいもよかったですね。悲恋にしかならないだろという展開ながら、レーベルコンセプトからハッピーエンドしかないらしいので安心して読んでましたが、久しぶりに榛名さんの物語を読んだせいか、こんなに物切れ?というかちょっと余韻がない文章書く方だったかな?個人的にはもうちょっと情緒を感じられる文章が好みです。

imgロクサリーヌ夜話
榛名しおり/池上紗京
さらさ文庫(2011.09)
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