猫かぶり嬢とにわか公子~箱入りメイドへ華麗な転落~ / 文月更

本の感想, 作者名 は行文月更

「社交界で脚光を浴びてちやほやされる」という最終目標のために、完璧なお嬢様の猫をかぶる富豪の娘シャーロット。しかし、商人である父が航海中に借金を残し亡くなってしまったため、寄宿制の女学校から無一文で放り出されてしまう。偶然とある伯爵家の執事に拾われ、伯爵家のメイドに志願したシャーロット。しかし、その伯爵家に最近迎え入れられた「お坊ちゃま」は、シャーロットの令嬢時代を知る人物だった。

これはまた素敵な性格のヒロイン(好物でした)。

ビーズログ版、小公女セーラ的なお話。「成り上がり」のお嬢様であるものの、「ちやほや」されるという最終目的のために「完璧な淑女」を装うシャーロットの涙ぐましい努力がよいものでした。表と裏の落差というか、心の声が面白いんですよねぇ。隙のないお嬢様(若しくは健気なメイドのフリ)かと思えば、ちょっとした隙からピンチに陥ったり、思わず猫の着ぐるみ脱ぎかけたりと、「完全」じゃないところが面白かったです。

これ、(小公女セーラの)ミンチン先生 [1]しかし、ミンチン先生の悪行はそれほど覚えていなかったり…の方がまだましなんじゃないか?という学園長の悪行や、いやそれ普通にシャーロットの顔知っている人がいたら一発でばれてまずいんちゃうか、という彼の人アレコレがあったり、終盤のシャーロットへの仕打ちはちょっときついなぁと思ったりと、手放しで面白かった!という話ではなかったのですが、突き落とされた先からシャーロットのがどう挽回するのか、というところが楽しかったので、個人的には相殺されて差し引きプラス!

img猫かぶり嬢とにわか公子~箱入りメイドへ華麗な転落~
文月更/増田メグミ
ビーズログ文庫(2011.10)
bk1/amazon

References

1 しかし、ミンチン先生の悪行はそれほど覚えていなかったり…