白雪ねこ姫 白氷の騎士と金色の王家 / 都木杏奈

本の感想, 作者名 た行都木杏奈

雪の女王に支配され、寒冷化が進む国。猫妖精と人間のハーフのプレシャは、幼いころ名前をつけてくれた恩人の騎士・カインとの再会の日を楽しみにしていたが、約束の場所でとらわれてしまい、奴隷として市場に売り出されてしまう。そんなプレシャは運よくフェンネルと名乗る青年に買われ、フェンネルが教官を務める女王の女官学校に通うことになる。その学校で、プレシャは女王の側近にカインそっくりな人物を見つけてしまう。

かわいいお話でした。

第一回一迅社文庫大賞アイリス部門で奨励賞を受賞された作家さんのデビュー作。半人半猫の女の子が、幼いころであった恩人カインと、彼女を引き取った恩人フェンネルのためにがんばるお話。雪の女王に征服された旧王家、世界の秩序を守る番人、そして妖精と御伽噺のような世界を舞台に繰り広げられる「がんばる女の子」のファンタジーで、全体的にかわいらしいなぁという印象が強いように思いました。

寄宿生の女官を養成するための女学校、不思議な精霊、物語の鍵となる「お茶」、そして幼いころの約束といろいろおいしい要素がてんこ盛りで、そして物語りも山あり谷ありで面白かったことは確かなんですが、なんといいますか、全体的に「盛り上がっている!」というところがあんまり感じられなくて、あー山登っちゃった乗り越えたの?とわりと淡々と進んでいるように感じられたところが残念かなー。文章に華がない?というやつなんでしょうか(と、文章力のぶの字もない人間が言うことじゃないんですが)。新人さんだし、このあたりは次回以降に期待です。

img白雪ねこ姫 白氷の騎士と黄金の王家
都木杏奈/くまの柚子
アイリス文庫(2011.11)
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