乙女ゲームの世界へ、ようこそ!~薔薇色の人生を君と~ / 水澤なな

本の感想, 作者名 ま行水澤なな

不思議なスパムメールに返信したことにより、綴莉の世界は大好きな乙女ゲーム「薔薇色の人生を君と」の世界が投影された世界と融合した世界になってしまった。夢のような出来事に、世界を楽しもうとする綴莉だが、徐々にゲームとの食い違いに気づいて……

え、お兄ちゃんじゃないの?

ファミ通文庫のギャルゲヱの世界よ、ようこそ!を乙女ゲームに移植(笑)した企画物。乙女ゲー好きなヒロインがうっかり乙女ゲームと融合した世界を創り上げてしまい、男の人としゃべるのもままらない性格をなんとか乗り越えてこの世界を楽しみ始めたのはいいものの、ある人物のバットエンドルートに入りはじめてしまい(下手すれば全員死亡エンドもありうる「泣きゲー」と名高いゲームが土台のため)、更に自分の知っているルートと徐々に違ってきて、全員が生き残る結末を迎えるために奔走し……というようなお話でした。もうなんだか(良い意味で)意味がわからないんですが、勢いがあって面白かったです。突然同居することになった厳格な義兄(生徒会長)、ワンコ系義弟、ツンデレ意地悪同級生、癒し系先生、そして謎の隠しキャラと、攻略対象が素晴らしく乙女ゲーでした。バットエンドは苦手ですが、このゲームのバットエンドはちょっと見てみたいです。弟ヤンデレエンド……。

ゲームのように単純に選択肢を選ぶことが出来ず、また割りきって最善の選択肢を選ぶほどの器用さもない。ゲームなら何とかクリアできた苦手な同級生も実際に話すとなるとうまくあしらえず、と揺れ動く乙女心がよいものでした、が。せっかく好きなゲームの世界に行くのなら!一番最初は!一番好きなキャラクターの攻略だろう!!(ゲームと違って一回かもしれないと思うのなら、なおさら)と握りこぶしで突っ込んでしまいました。

個人的には、ゲームのキャラとのあれこれより、現実の幼馴染のアレコレの方がツボに来たりと、どこかツボが違ったように思いますが、これ、続きでるのでしょうかね?ゲームの世界はやっぱりゲームで幼馴染エンドはないですか?と、いろいろつらつら思いつつ。最初の2ページのモノローグが乙女ゲームを嗜む者 [1]PSPで所有しているゲームは全て乙女ゲームという現実。……そもそも最近はゲーム自体それほど持ってないんだけどとして、とても面白かったなぁ [2]かといって、私はヒロインがかわいいーかわいいー派だったりするので、ゲームの世界に入りたいとはこれっぽちも思わないのだけど。

img乙女ゲームの世界へ、ようこそ!~薔薇色の人生を君と~
水澤なな/文月七
ビーズログ文庫(2012.03)
bk1/amazon

References

1 PSPで所有しているゲームは全て乙女ゲームという現実。……そもそも最近はゲーム自体それほど持ってないんだけど
2 かといって、私はヒロインがかわいいーかわいいー派だったりするので、ゲームの世界に入りたいとはこれっぽちも思わないのだけど。