左近 浪華の事件帳 闇の射手 / 築山桂

本の感想, 作者名 た行築山桂

大坂の町で若い娘を狙ったかどわかしの事件が続き、<在天別流>に助けが求められた。兄からこの件を任せられた左近は、事件の真相を探るうちに、「左近」という名の男を探す浪人に出会う。先代の「左近」とその男の関係を怪しむ左近は、正体を隠してその男から事情を聞き出そうとする。

お兄ちゃんの出番を!もう少し!

男装の麗人左近殿が大層格好のいい、大坂を舞台とした闇の正義の味方<在天別流>の暗躍を描いた左近殿が主役の物語第二弾。今回、左近殿のお兄ちゃんはちょっと京までお出かけなので出番が少ない……うーん、物足りない(笑)。しかも、左近殿のお目付け役の若狭は若狭で出番少ないし!十分活躍していたけど!となんのかんのと言いながらとても楽しめました。
左近、弓月王、そして若狭の余人の入る隙のない絆を見せつけられたお話でもありました。これ、章くん [1]別シリーズの主人公、このあと左近殿に淡い思いを寄せる在りし日の緒方洪庵先生の入る隙ない……いや、でも章くんもあのシリーズの終盤はかっこよかったし!大丈夫、望みはある(笑)。

ちょっとうっかりの左近殿に、それに振り回される若狭、そして妹大好きなお兄ちゃんともう美味しいところが満載なので好きシリーズです。続きも出るといいな。

しかし、このシリーズを読むたびに思うのは、「四天王寺から天満とかホイホイ歩くの無理」という非常に現代人の感想だったり。谷町筋一直線でそんなに距離はないと思いますが、これは躊躇なく地下鉄に乗る距離だ。昔の人は健脚だなぁ。

img左近 浪華の事件帳 闇の射手
築山桂
双葉文庫(2012.02)
bk1/amazon

References

1 別シリーズの主人公、このあと左近殿に淡い思いを寄せる在りし日の緒方洪庵先生