ヴィクトリアン・ローズ・テーラー キスよりも遠く、触れるには近すぎて / 青木祐子

本の感想, 作者名 あ行青木祐子

スコットランド貴族の流れを引くブロア公爵家の長女ソフィアは、伯母にゆかりのあるハクニール公爵家のガイアスタン城でハクニール公爵家当主の弟アルフレイドと最悪の出会いを果たす。妹の結婚相手の候補であったアルフレイドに他の人にないものを感じたソフィアは少しずつ彼に惹かれていくのだが……(石の王子と花姫の結婚)。

ソフィアママは天然。

シリーズが佳境に入っている中での息抜きの短編集。シャーリーのヤキモチの焼きっぷりが清々しすぎる短編2話(+マンガ2ページ)に、書き下ろしでアントニーの奮闘を描いたものとシャーリーパパママの結婚秘話の豪華な一冊でした。

シャーリーの乙女心とやきもち焼きは、鉄板なのでおいておくとして、個人的にはアントニーのお話とパパママのお話が気に入りました。アントニー、好きなんだけど敗色濃厚なんだよねぇ……彼には幸せになってほしいなぁ!パパママのお話は、短編の少し前のお話からソフィアママがかなり素敵でお茶目な女性だと思っていたんですが、想像以上によい天然でした。もう、このパパママのやり取りがツボ過ぎて!もしかしなくても、シリーズ本編含めて一番好きなエピソードかもしれません。後書きにある「お父さん、何書いてるんですが」も地味にきました。この家族、いいわ……。

短篇集で一息ついたところで、本編もあとちょっと、ぼちぼち読んでいきたいです。

imgヴィクトリアン・ローズ・テーラー キスよりも遠く、触れるには近すぎて
青木祐子/あき
集英社コバルト文庫(2011.09)
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