花嫁の選択 悠久の大河は紅涙を呑む / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

オルドブライの皇子アスライの新たな任地に向かうため、西に向かったイリーナ。二人は道中、ごたごたを抱えているという属国パラスティンに立ち寄る。パラスティンの前王の不審な死の真相を探ることになった二人は、パラスティンが抱える複雑な問題に頭を抱える。

今回はローテンションだったなぁ……

シリーズ4冊目にして、一応完結編という噂を聞いている「花嫁の選択」、インドっぽいところで象に乗ります!巻。序盤はアスライの陽気なちゃきちゃきした妹がいてサクサク進んで楽しかったんですが、パラスティンに入ったあたりから、重い、根暗、陰険と若干乗り切れないお話でした。いつもどおり「硬め」の政治関係やらなにやらががっつり全面にきていて、少女小説のこういう硬いのは結構好きなのに何故か乗り切れない。なんでかなぁ。

理由としては、たぶん今回のテーマでもある「平等に罰するか、丸く収めるために見て見ぬふりをするか」という部分の落とし方が(アスライやイリーナも悶々としつつ)はっきりしなくて、白黒つけて欲しいタイプの人間としては物足りない!(悪役は潔く悪役だったけど!)というところが大きいのかなぁ。あと、アスライサイドに癒しの弟くんがいない。癒しの妹はいたけど序盤しか出番なかったし(笑)。

と、いろいろ文句は言っていますが、安定の小田さんクオリティなので面白いことは確かで。次作の「少女小説の硬めのお話」も楽しみにしたいと思います。

花嫁の選択 悠久の大河は紅涙を呑む
小田菜摘/池上紗京(2011.11)
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