そして花嫁は恋を知る 薔薇の想いは海を超える / 小田菜摘

本の感想, 作者名 さ行小田菜摘

皇太子であった兄の急死に伴い、なんの準備もなくブラーナ帝国の皇太子となってしまったアンティクレア皇女に、現皇帝でアンティクレアの母であるグラケィアは自身の腹心であるルキウスを指南役につける。アンティクレアの婿の座を狙う貴族たちは、アンティクレアからルキウスを引き離そうと陰謀を張り巡らせる。

やっぱり好きだな、このシリーズ。

シリーズ13冊目は、シリーズ1冊目の子ども世代のお話でした。気楽な皇女生活を送っていた皇女様アンティクレアが皇太子になって、自分よりよほど有能なルキウスに兄同様劣等感をいだいてしまうが、その想いはやがて……となかなかにぐっとくる「恋を知る」お話でした。いいなーこういう硬い筋をベースに繰り広げられていく恋物語。アンティクレアの成長と恋心、更に「恋敵」ポジションの隣国の従兄妹達のよい「従兄妹」的ポジションが非常にツボでした。

今回の悪役は、わかりやすく卑怯なのでこちらも(直積的な描写はないものの)最後にはきちんとやり込められていて、読んでいて蓄積されたストレスも解消されてめでたしめでたし、の一冊でいろいろ満たされる物語でした。

そして花嫁は恋を知る 薔薇の想いは海を超える
小田菜摘/椎名咲月
集英社コバルト文庫(2012.09)
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