アレクシア女史、埃及で木乃伊と踊る 英国パラソル奇譚 / ゲイル・キャリガー

本の感想, 作者名 か行ゲイル・キャリガー

アレクシアとマコン卿の間に生まれた特殊能力を持った娘プルーデンスは無事2歳になり、アケルダマ卿の元で元気に育っていた。プルーデンスが生まれるまでの波瀾万丈の日々がウソのように穏やかな日々を過ごすアレクシアだったが、アレクシアとプルーデンスに最高齢の吸血鬼であるエジプトのマタカラ女王からの招待が届く。

プルーデンスが可愛すぎて瀕死(読み手が)。

シリーズ最終巻は、異界族の能力を奪ってしまうという「神殺し病」の真相に迫り、そして謎に満ちていたアレクシアの父の行動の一端があかされるお話でした。いろいろビックリビックリの展開の連続で、とても面白かったです。
そんな中、いちばん面白かったのは「プルーデンスに翻弄される養父アケルダマ卿とそのドローンたち」でした。プルーデンスがかわいいからな!いいな幼児!束の間の安らぎを得たアケルダマ卿が子育てをすごく楽しんでいる様子が面白かったです。

黒幕さんは言われてみれば!というあの人で、こちらもびっくり。最後の最後まで物語が落ち着く様子がなくて、ラスト近くはちょっとドタバタした感が強かったんですが、見事にまとまったなぁ、という印象でした。根本の部分はあんまり解決してないんですけど、マコン卿は最後はああいう選択をしそうだなぁと思っていたので、実際そのような選択でちょっとほっこりしたり。
そして、なんと言いますか、予想外のところで恋の花が満開になっていてびっくりでしたよ!あの二人好きだし、境遇を考えると別におかしいこともないですが。女の人大好きなルフォーさんという人がいるから、なぁ……!、この巻でいちばんべたべたラブラブしていたのは間違いなくあの二人だった(笑)。

次は25年前くらいを舞台にした「花嫁学校に入学したはずがスパイの技術まで教えられた!」というお嬢さんが主役のお話があるそうです。これ、めちゃくちゃ楽しみなんですが……!そして、成長したプルーデンスを主役にしたお話の構想もあるとのこと。こちらも非常に興味がありますので、気長に待ちたいと思います。

アレクシア女史、埃及で木乃伊と踊る 英国パラソル奇譚
ゲイル・キャリガー/川野靖子(訳)
早川書房(2012.09)
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