我が呼ぶ声を聞いて 幻獣降臨譚 / 本宮ことは

本の感想, 作者名 ま行本宮ことは

アランダム島での『虚無の果て』の蜂起をなんとか収めたアリアとシェナンは、『虚無の果て』の最後の最高司祭がいるという王都に向かう。王都にたどり着いてすぐに国王崩御の噂を聞いた二人は、真偽を確かめるために春陽家の力を借りて王宮に乗り込み、事件の黒幕とまみえることとなるが……

大団円、の最終巻でした。

シリーズ19巻目の最終巻。わりとトントンと刊行が続いていた中、最終巻まで2年くらい開いてしまったのでどんな話だったかなぁと自分の感想を読み返してからのチャレンジとなりました。本巻は全体を通して随分駆け足だなぁという印象が強かったのですが、その駆け足の中でフォローするところはだいたいフォローした大団円だったように思います。いろいろ、わりと、あっさりだった……のでもう倍くらいページがあればと思ったところがいくつか、です。王子の決意やアリアに信じてくれといったあのシーン、様式美的な展開ではあるのですが大好物なのでとても燃えました。幻獣や精霊との関係そっちで決着か……と少々寂しくなりつつも、でもアリアが今まで歩んできた道を考えれば納得の行くものでした。

そんな駆け足の展開の中、アリアと王子の読んでるこっちが赤面するわ!というやり取りの数々に、この二人ってここまで赤面する関係だったかと悩んでしまいました(なんせ読み返してから読んでないブランク2年の読者……)。いやこういうの大好きなのでいいんですけどね!
何はともあれ、大作シリーズの完結おめでとうございます。また、ワクワクできるお話を読みたいなぁと思いつつ……。

我が呼ぶ声を聞いて 幻獣降臨譚
本宮ことは/池上紗京
講談社ホワイトハートX文庫(2012.12)
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