モノ好きな彼女と恋に落ちる99の方法 / 木更木ハル

本の感想, 作者名 か行木更木ハル

人を愛せず「モノ」を愛するという特異な性質を持つ高校生の瑠子は、両親の死をきっかけに思い入れのあるモノを付喪神にしてしまうという能力を手に入れて、タオルとハサミと虫眼鏡の付喪神と暮らしている。瑠子の付喪神化能力を危険視した「異端管理局」から派遣されてきた能瀬は、瑠子が人に興味をもつようにと恋のレッスンを実施するが……

予想していた話とだいぶ違ったけど面白かったー。

第10回角川ビーンズ小説大賞奨励賞受賞作品。最近の少女小説では珍しく現代物でちょっとワクワクしました。付喪神とぽっと出の捜査官がヒロインをめぐっての逆ハーレムでドタバタ騒ぎかと思えば、わりとシリアス目の展開で、いい意味で予想通りじゃなくて面白いなぁと思いました。女の子一人に男の人複数、だけどなんやかんやでメインヒーローはたぶん、あの人。そう、読んでいる途中某アイドルゲームの天然(メガネ取ると性格変わる人)が頭にちらついて仕方なかったあの人……(な、なんとなく)。

普段クール過ぎる瑠子がものに対して見せる異常な執着とテンション高めなところに若干引いてしまいますが、これも彼女の個性……。瑠子がモノしか愛せない理由、付喪神達が瑠子を愛する理由、そして瑠子の能力を危ぶむ組織の抗争など、結構読み応えがあって、決着もついたようなついていないようななので、続きもでるのかな、と思っています。ちょっときになるー。

モノ好きな彼女と恋に落ちる99の方法
木更木ハル/くまの柚子
角川ビーンズ文庫(2013.04)
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