宝塚-宙組 / the WILD Meets the WILD

素人の観劇日記宝塚, 宙組

宙組さんのバウホール公演「the WILD Meets the WILD」、いわゆる「割りと、本気で、西部劇」を観てきました。
もうこれ、わたし観劇後に生きて帰ってきたのが信じられないくらい、全力で殺しにかかってきていた作品でした。なんというものを生み出してくれたのですか……(褒めてる)。

銀河英雄伝説の双璧コンビ(蓮水さんと七海さん)がダブル主演の本作、ポスターからして面白そう、というか生きて帰られる気がしない作品でしたが、想像以上でした。ロマンスはないと思ってたんですが、ちゃんと、しかもかなり私好みのネタでして、素晴らしかったです。素晴らしかったです。

鉱山の町で一緒に育ったいとこ同士のジェレミー(蓮水さん)とベンジャミン(七海さん)。やがて時は過ぎジェレミーは医者を目指して都会に、ベンジャミンは街に残る。とある理由から賞金をかけられた覆面賞金稼ぎ”Killer Bee”になったジェレミーは、これまたとある理由から10年ぶりに町に戻る。そこでジェレミーは、ベンジャミンがならず者を率いた賞金首になっていることを知るが……、というお話で、ジェレミーが町に戻った理由、ベンジャミンが「ワル」になった理由、町を牛耳る市長の「陰謀」と、お話としてもこの先どうなるのかな!と結構ドキドキの展開で面白かったです。まーでも最後の方、よく考えると投げっぱなしだけどな……。市長さんの安心と安定の小物っぷりがなんだかよかったですね!ファザコン。

全般的には、サブタイトル通り割りと本気で西部劇をやっているお話だなぁ、と思いました。いや、西部劇は昔数本見たことがあるくらいなので何かを語れる程の知識もないのですが。コメディなのかなぁ、と思っていたら割りとシリアスだし。でも、笑えるシーンもたくさんありました。ヒロインのエマちゃんが力強く歌い踊るところとか、すごく面白かった!しかし、一番おもしろかった(笑えた)のがベンジャミンとジェレミーが乗り込むあのシーンとかいうのは、正しいような間違っているような……。ここ以外はわりとまじめだったのに!だいなしだよ!おもしろかったけど!好きだけど!

蓮水さんがかちっとしたお洋服で保安官しているのと、「ワルのカウボーイ」の七海さんの対比が良いものでした。この二人のビジュアルからして勝利したも同然ですよねー。ビジュアルといえば、あの話題の椅子に座った二人が劇中で再現されているのに震えました。あのシーンを見るだけでも価値があるというものでした。すれ違っていた二人がまた再び同じ方向を向いたあのシーン、あの二人の距離感……たまらん、いいぞもっとやれーと心のなかで大喝采でした。

で、もちろんジェレミーとベンジャミンの背中合わせとか息のあったところとか色んな所にくぅぅぅー!となっていましたが、それ以上にジェレミーとヒロインのエマちゃん(花乃さん)のアレコレが、アレコレが!配役にもヒロインの気配がなくて、公式HPの作品紹介以上の情報は仕入れずに観てきたので。そ、それが。

ツンデレ × ツンデレ = ∞

という、ツンデレ同士のアレコレが破壊力ありすぎて、宝塚にはまっていて本当に良かったと思った作品でした。これ、最後の最後に、超特大の罠があった……!なにあのツンデレ!
過去の経験から実はヘタレ(身も蓋もない)なジェレミーを行きがかり上おもいっきり励ますことになって気になる存在になってしまった所に、そのジェレミーが憧れのKiller Beと知ってしまって戸惑うエマをジェレミーは無理やり誘いつつ、なんのかんのと最後に思いが通じ合っているけどエマはまだまだ許さないわよ的な展開なのにやっぱりしょうがないわね!というかなんというかの最後のコツンが!コツンが!
(↑言いたいことは色々あるけど、ネタバレしてるしまとまっていないのでとりあえず反転)

宝塚では割と珍しいタイプのヒロインが可愛いのなんの!「気が強く」「(物理的にも)強くたくましく」「自分の主張をはっきりと」「そして男を蹴り飛ばし」「それでも乙女心を忘れずに」のエマちゃんがすごく好みでした。「世界は妄想で成り立っている(意訳)」は本当に素晴らしい一言でした。その後のデュエットもよかったよー。一幕のエマちゃんが皆の者を率いて歌って踊るところもよかったよー。つまりこのヒロインはかなり私の好みだよー。たのしかったよー。

いろいろと転がりまくって非常に忙しい作品でした。見に行けて、良かった!