銀嶺の巫女 / 森崎朝香

本の感想, 作者名 ま行森崎朝香

北の小国ギンレイに逃げ込んだという「罪を犯した」巫女を追って、次代の帝・霜月とその姫巫女・槇がギンレイ王・焔に協力を求めてくる。霜月たちより一足先に見つけた件の巫女・榧に何かしらの事情があると考えた焔は榧をすぐには引き渡さず彼女を保護するという選択をしようとするが……

好青年の王様がよいものでした。

WHで花嫁シリーズ等を出されていた、森崎さんがアイリス文庫から。ネーミングは日本っぽいんですが、いろいろ混じった東洋ファンタジーといいますか。神の力が息づく世界で、持ち回りの皇帝が「神の力を宿した巫女」の力を借りて国を治めている中で、一応皇帝になる資格はあるものの弱小国過ぎて全く関係のないギンレイ王焔が、あるものを盗んだ罪で追われている榧をたすけ、そして榧のなそうとしていることを成就させるために未踏の地である北の嶺に向かう、というお話。世界の成り立ちや、王様と巫女の関係、そして王様と巫女が契約する「神様」の設定なんかが結構興味深くて面白かったです。
巫女として自分を殺し続けてきた榧が、焔が見せる新たな世界に少しづつ心を開いて行くところなどが少女小説的に美味しかったですねぇ……!小動物系の女の子が面倒見のいい兄貴分に構われているのを読むのは好きです、好物です!

全体的には私の好きなお話でしたが、最後の最後の霜月さんと槇さんあたりが非常にもやっっっとしたままお話が終わってしまったので、そこはちょっと消化不良かなぁ。うーん、話の展開からしてそういう終わり方もあるかなぁと思えばありなんだけど。槇さんの「間違えて全部言っちゃった」等はわざとと言うか、榧を助けるために違いないとか思っていたのですが、そういうこと全く無くてただの無邪気な悪役だったのは、ちょっと、残念です……、わりに好みのタイプかなぁと思っていたのだけど、見事に裏切られたなぁ。ある意味初志貫徹してて、あっぱれというかそれはそれで好きなタイプかな、とも思いましたが(結局は好き)。

銀嶺の巫女
森崎朝香/凪かすみ
一迅社アイリス文庫(2013/08)
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