ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 王子とワルツと懐中時計 / 青木祐子

本の感想, 作者名 あ行青木祐子

クリスとシャーリーが結婚して二年経ち、シャーリーはクリスを女王陛下の宮廷舞踏会に連れて行く時期を見定めていた。舞踏会になれないクリスの予行練習のために、クリスの顧客であるパトリシアの家が主催するパーティーに出席することを提案する。(二年目の舞踏会)

うわ、やっぱりシャーリーめんどうくさ!(そして乙女)

本編完結後のおまけ短篇集2冊目。主なお話はサブタイトル通り「王子」「ワルツ」、そして「懐中時計」のお話でした。ワルツのお話ではシャーリーの面倒くささと乙女度の高さが遺憾なく発揮され(ごちそうさまでした)、懐中時計のお話では報われない度No.1のアントニーがシャーリーとクリスの結婚のためにいろいろ苦労をしていた姿を遺憾なく楽しめ(個人的にはアントニーが一番好きだ……)、そして王子のお話ではあの人の以外な過去が語られ、と楽しかったです。でも、一番楽しかったのはリルちゃんの写真館でのお話かなー。シリアス成分が多かったけど、このお話はこういうほんわかした面もあったんだなぁ、こういうの好きだなぁと改めて確認した次第で。そうだよ、シャーリーが「アイスクリームの男」と呼ばれるとか、笑えるところはたくさんあったんだよ。「世界の誰が許しても、俺が許さん(P.239)」っていうような一言を残せるくらいは面白い人なんだよシャーリーは!って改めて確認しました。

本編がシリアスだっただけに、余計にほんわか笑える部分が面白い、というのもあるかもしれませんが。もし可能ならもうちょっとこういう感じの小話詰め合わせが読んでみたいなぁ。

ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 王子とワルツと懐中時計
青木祐子/あき
集英社コバルト文庫(2013.05)
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