聖女の結婚 策士策に溺れる / 夏目翠

本の感想, 作者名 な行夏目翠

常に喪服と仮面を着用し金貸し業を営む未亡人のリリアナは営業許可を維持するために結婚することを迫られる。債権回収に向かった先で保護した訳ありのジョシュア(身元不明の美少年)をその役に仕立てあげることにしたリリアナは、ジョシュアが「盗んだ」という宝石絡みのトラブルに巻き込まれる。

したたかになりきれないリリアナが面白かったです。

しばらく夏目さんの作品をチェックし忘れていたんですが、新シリーズ(とはいっても3月刊)が何やら面白そうだったのでチャレンジ。ある事業のために「年の差婚」をして夫に先立たれたリリアナが、継いだ金貸し業を続けるためにあの手この手を巡らしている所にぽんと飛び込んできた犬系美少年(いろいろ訳あり)を利用しているつもりが実は……!というお話で楽しかったです。
金貸し業を営んでいる都合上「稀代の悪女」との評判を訂正もせず、それどころか「(常識的な範囲で)悪ぶって」、数少ない味方である執事のヴァレンティン(と諸事情でリリアナの子分分になってる強面のおっちゃんたち)と世間の荒波に立ち向かっているリリアナがなんのかんのと可愛かったなぁ。ジョシュアもジョシュアで、裏に抱えている事情はなんとなく想像できてしまうものの、その巻き込まれっぷりはご愁傷さまとしかいいようがない。あとは執事殿かなー、あのオチはないわぁ(褒めてる)。
読み切りと思い込んでいて、盛り上がってきたけどページ数足りない!と思ったところで以下続刊(そして2巻は秋に出てました)なので、続きも順次読んでいきたいと思います。Cノベルズは電子書籍で読むのに切り替えたので電子書籍になってから読む(紙発行からそれほど間をおかずに大体のストアで売りだす点は、Cノベルズはいいなぁと思います)。

聖女の結婚 策士策に溺れる
夏目翠/Laruha
C-NOVELS Fantasia(2013.03)
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