見えざるの天神さん 浪花ふらふら謎草子 / 岡篠名桜

本の感想, 作者名 あ行岡篠名桜

大坂の武士の情報を集めた「浪華御役録」の最新版に千代の名前が載っていなかった。不審なものを感じた花歩と千代の実弟松次は、浪華御役録の版元にその真相を確かめに行くことにする。<浪華御役録>

千代ちゃんっ!

大塩平八郎時代(ご本人ご登場なので間違いなし)の大坂を舞台に、失踪した父親の手がかりを求めて大坂をぶらぶらしているうちに得たその知見を活かして「大坂の町案内業」を始めた宿屋の娘・花歩ちゃんのぶらり町歩き町人物の二冊目。大きな事件が起きるわけではないのですが、花歩が巻き込まれるちょっとしたトラブルにさっそうといつの間にか助けに来ている千代ちゃんがなぁ……いいなぁ。千代ちゃんサイドの描写がないので、彼が何考えているかよくわからないし、千代ちゃんあんまり喋らないので彼の考えが本当につかめないんだけど、イイトコどりの千代ちゃんがいいものなのです。

今回は千代ちゃんが将来お嫁さんに迎えるかも?の養子先のお嬢さんも出てこられて花歩ちゃんもちょっとグラグラ。でも、なかなかに話のわかる、そして男前なお嬢さまらしくもうちょっと話に絡んで来られてた時にどうなるのか楽しみだなぁ。花歩ちゃんと良い友人になりそうな気がします。

見えざるの天神さん 浪花ふらふら謎草子
岡篠名桜
集英社文庫(2013.06)
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