お嬢様の悪だくみ / みどうゆか

本の感想, 作者名 ま行みどうちん, みどうゆか

幼いころに両親を無くし叔父夫婦に引き取られたラウラは、叔父の家族にいじめられて成長する中、自身の華麗な外見を最大限利用して腹黒く賢く生きることを決意する。そんなラウラに叔父が地方の伯爵家との縁談を用意してきた。叔父の家から出ることができるチャンス、とラウラはその縁談に飛びつくが、伯爵家に到着と同時に伯爵が代替わりしていることを知る。

ラウラの考える「悪」がかわいい……

ちょっと「変」なお話を書いていらした元「みどうちん」さんの改名後の一作。相変わらず「ちょっと変(今回はおもにヒロインの思考回路)」なんですが、お名前が「普通」になってしまった分、「変さ」も少々抑え気味になっておりちょっと残念かなぁ、と妙なところで寂しさを感じてしまったのですが、よい少女小説でした。悪役がヘロすぎましたが。

ラウラちゃんが強くしたたかに生きるために「悪女」を自称しているのですが、その「悪女」っぷりがタイトル通りの「悪だくみ」レベルでなんだか微笑ましいんですよね。ラウラの結婚予定相手の息子スヴェンのラウラ以上の猫かぶりっぷりもお見事で面白かったです。お互いがそれぞれの本性隠さずにやりあうところはいろいろと読み応えがありました。あくまでも前向きなラウラの影響を受け、非常に後ろ向きだったスヴェンが変わっていくところなどはよいものでした!

ぶっとんだ「変さ」ならそれはそれで気にならないんだけど、中途半端な「変さ」はちょっとひっかかっちゃうし、中途半端なところにとどまるのはもったいないなぁと思うので……改名した後もあまり作風が変わらないことを期待したいのだけど次回作以降はどうなるのかなぁ。

お嬢様の悪だくみ
みどうゆか/結賀さとる
小学館ルルル文庫(2013.09)
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