キョンシー・プリンセス~乙女は糖蜜色の恋を知る~ / 後白河安寿

本の感想, 作者名 か行後白河安寿

気が付いたらキョンシーとなって人を襲いかけていた芳玉は道士の黎に保護され、通常のキョンシーとは違い本体(肉体)が仮死状態になっているため元に戻る方法があるとキョンシー化した原因を探すことになる。キョンシー化によって記憶が曖昧になっていた芳玉だが、婚約者に芳玉の家を訪れていた皇太子など、この事件の鍵を握っていそうな人物が次々と思い浮かび……

元気な女の子はいいもんだな、というお話でした。

2012年度ノベル大賞読者大賞受賞の文庫化作品。型破りなお嬢様・芳玉が元の体に戻ろうと凄腕の道士と奮闘するお話。結構テンションが高めな一人称で、元気だなーかわいいなーという乙女心がなかなかおもしろかった一冊でした。まー、ちょっとテンションが高すぎて、読んでる途中何回かつまづきましたが、勢いで読ませてしまうタイプだなぁ、と。若干とっちらかった印象を受けましたが、新人さんなのこのとっちらかり方も今後に期待、といったところでしょうか。

芳玉のキョンシー化の原因の鍵を握ってそうな怪しい人が複数いて、どの人も思わせぶりでした。しかし、一番思わせぶりだったあの人は当て馬にもなりきれてなくてちょっと消化不良でした。当て馬ならもっと清々しく当て馬になってもいいと思うなー。そして、コバルトにしては妙にいろっぺー描写があってなるほど、と。紙一重なところを売りにしていくのならそれはそれでありかなと思いました。

キョンシー・プリンセス~乙女は糖蜜色の恋を知る~
後白河安寿/このか
集英社コバルト文庫(2013.10)
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